Last updated : May.5.2001




「ダイビングやると潜水病になるんでしょ?」よく聞かれる質問です。
「窒素の影響ってなんだおぉ? HomePage更新のネタ切れなら、それを書けぇ〜」という温かい、そしてとてつもなくありがたく迷惑な(爆)リクエストがありましたので、ちょっくら説明してみようかと…(^-^;;
でも、専門家じゃないので間違ってたらごみんなさい!!m(_ _)m









ダイビングって水中でのレクリエーションスポーツ(?)ですよね。
陸上のスポーツと大きく違うのは、常に圧力(水圧)がかかっている環境で、空気を補充しながら楽しむってこと。
だからその空気と圧力が及ぼす影響を知ったうえで楽しまないと、ちょいと危険なのです。




空気は一種の混合気体で、78%の窒素、21%の酸素、そして1%の稀ガスから構成されています。
これはどんな状態においても、この割合は一緒だと考えてくださいね。
私たちダイバーはこの『空気』を背負って海に潜るのです。

さて、 『潜る』ということは、どんくらいの圧力の影響を受けるんでしょ?
それがボイルの法則でわかっちゃうのら。



「温度が一定であれば、気体の圧力と体積は反比例の関係だが、気体の圧力と密度は比例して増減する。」
#このボイルの法則に温度が関わってくるとシャルルの法則になるんだなぁこれが。(^-^;;
# でも今回は混乱するとアレかもなのでやめとくねぇ(笑)





空気は圧力をかけることによって圧縮することが出来ます。一定の体積の空気を圧縮していくと2つのことが起きます。

1)圧力の上昇に反比例して空気の体積は減っていく。
2)圧力の上昇に正比例して空気の密度(単位体積の重量)は増えていく。

つまり空気にかかる圧力が増す(潜降)と、空気は圧縮されますが、逆に空気にかかる圧力が減る(浮上)と 、空気は膨張することになります。

さてさて、一定の体積の空気の圧力が変化した場合の「体積と密度との関係について」は横の図をみてもおわかり頂けたと…(笑)
では今度は 、一定の体積空間を保つためにどうすればいいのか?
はい、これも横の図を見れば一目瞭然ですねぇ。
2倍の圧力が加わると、体積は1/2になり、密度は2倍になり、この体積を減少させずに保つには2倍の空気を持ってくればいいわけですねぇ。 このように増加する圧力に応じて、空気量を増やすことによって、どんな圧力下でも、空間は一定の体積を保つことが可能になります。
スクーバ装置はダイバー(人体の空間)に対し 、まさにこれを行う装置なんです。レギュレーターのセカンドステージ(口元でくわえてるやつね)は、周囲の圧力と同じ圧力の空気をダイバーに供給できるので、ダイバーの体内空間をつねに水面のときの体積と同じ体積を保つことができるのです。

つねに水面のときの体積と同じ体積を保つということは…
水深30mで1リットルの空気を排気せずに水面に持ってくると、4リットルの空気になっちゃうってわけですよね。(^-^;;
だからスキューバで浮上するときに息を止めてはいけないという理由はここにあったってわけなんです。
ダイバーにとってボイルの法則はとっても重要です。潜るたびに、ダイバーは気体が入った様々な容器(体内の器官やダイビング器材)といっしょに水に入ります。副鼻腔(サイナス)、耳、肺などの組織、ダイビング器材ではBCD、ウェットスーツの中の小さな気泡でさえ常にボイルの法則で示された要因の影響を受けているのです。

さて、ここで一定の体積を保つために反比例して減った分の体積を補充するということがわかっちゃいましたねぇ。となるとだ、空気の成分はどうなるの??ってことでダルトンの法則になるわけだ。

 



混合気体を構成するそれぞれの気体は、混合比に比例して圧力を分担する。
混合気体における分圧の合計は、混合気体そのものの圧力に等しくなる。



つまりある容器中の圧力が増すということは、その気体の混合比が維持されれば、各気体の分圧も、それに比例して増すことを意味しているってことだぁな。

はじめに空気の構成比率を話したけど、覚えてるかな?
78%の窒素、21%の酸素、そして1%の稀ガスから構成 だったよね。
ってぇことは、ダルトンの法則によると、水中下では下の表のようになるってことだぁ。


水深(m)

絶対圧

窒素分圧

酸素分圧

稀ガス分圧
0
10
20
30
40
90
1
2
3
4
5
10
0.78
1.56
2.34
3.12
3.9
7.8
0.21
0.42
0.63
0.84
1.05
2.8
0.01
0.02
0.03
0.04
0.05
0.1

気体の分圧が高くなるだけその気体の影響も大きくなるっていうこと、わかるかな?

たとえば陸上での呼吸空気に2%の汚染ガスが混入してた場合 、この空気を呼吸して水深40mに潜水していたとすると、そこでの絶対圧は5気圧になり、この汚染空気の分圧も5倍!10%に相当する分圧で呼吸することになる。つまり、これはダイバーに対する影響力も5倍になるということで、水面ではこの汚染ガスの影響があらわれなくても、潜降して深度が増すにつれて分圧が上がり、人体に危険な影響をあたえるかもしれないということを意味してるだ。

この呼吸気体の分圧による 影響にはこの汚染空気のほかに、窒素酔い減圧症などがあります。

次に気体の溶解についてお話しちゃおぉっと。それでさらに窒素などの影響を受けて減圧症とかになっちゃうのかわかると思いまぁす。




特定の温度における液体への気体の溶解量は、気体の分圧にほぼ正比例する。


物質の溶解っていう物理現象は、砂糖をコーヒーに入れた時に見慣れてるけど、気体の溶解は固体と違ってもともと目に見えないからなかなか考えにくいよねぇ。
でも、実際に炭酸飲料を振ったあと、栓を開けた時にこの現象を体験しているのら。
「ぷしゅ〜〜〜ぅ」って溢れちゃって、手がべちょべちょになったでしょ?
アレがそうなのだ。
気体って液体の中に溶解しても、分子を保っていて、液体の分子に完全に閉じ込められていても圧力をかけ続けているんだって。それをガス圧力と言って、気体の圧力と液体内のガス圧力が平衡になるまで気体を溶解して、その平衡の状態を「飽和状態」と言うんだわ。
飽和状態だった 炭酸飲料を振ると液体内の気体が急速に外にでようとする。
そんなときに栓を開けるもんだから 「ぷしゅぅぅ」なのだ。

振らなくても、炭酸飲料を栓を開けてコップに入れると、液体にかかる圧力が急に減少して液体中に溶解した気体が排出されて気泡をつくって「ソーダ水のなかを〜貨物船がとぉぉるぅ♪」になるわけだ。<ふ、ふるい??(^-^;;(爆)
実はこの現象って、ダイバーの体内で窒素が排出されると同じ作用が起こってるんだど。


体内って殆ど液体だよね?その中に気体が溶解しちゃうって考えにくいかも知れないんだけど、圧力のおかげで入っちゃうの。
では、どのくらい気体が液体に溶解するのかな? それに結論をだしたのがヘンリーの法則なわけだ。
ヘンリーの法則によると、『液体に溶け込む気体の量は、その気体の分圧の比に等しい』
となると、私たちリクリエーショナル・ダイバーの人体に直接影響を及ぼす気体は??

『窒素』は不活性ガスなので、人体で使われることはありません。
『酸素』も圧力下で各組織に拡散されますが、組織はこれを代謝してしまうので問題にならない。
『稀ガス』微量なので問題なし。(あくまでもリクリエーショナルダイバーの観点からね)

上でもお話したように空気の構成比率の一番多いのは『窒素』。
ヘンリーの法則によると、人体には人体を取り巻く環境圧力と同じレベルまで、窒素が溶け込む。つまり、水面では人体はすでに飽和状態にあるわけだけど、ダイバーが潜降すると圧力増加により、さらにより多くの窒素が体内組織に溶け込むってことになるわけだ。
ダイバーが吸収する窒素の量はそのダイブの深度と時間に直接関係します。
より深く潜降すれば周囲圧力は増大し、ダイバーの体内では肺の中の窒素と組織の窒素との、圧力勾配も相対的におおきくなりますよね。
圧力勾配が大きいほど組織には早く窒素が吸収されることになります。

ダイバーの各組織に余計に溶け込んだ窒素は、リクリエーション・ダイビングの深度(水深18m以内を推奨)なら、そのダイバーが水中に滞っている限りは、きわだった生理的な影響は起こしません。今までのお話でも大体わかるように、ダイバーが水面を目指して浮上し、周囲圧力が減少すると体は過剰分の窒素を排出しはじめます。この排出の過程でトラブルの可能性があるんです。

安全にダイビングができるようダイバーの体内の窒素レベルを計算してその限界比をコントロール することによって減圧症を防ごうとしてるのが、ダイブ・テーブル、ダイブ・コンピューターです。


簡単にばぁぁぁぁっと説明してきたけど、なんとなくわかってもらえたかなぁ?
舐めたら怖いスポーツだけど、正しい知識を持ったうえで、そしてレクリエーション・ダイブの範囲であればそんなに危険なスポーツではないんです。

この夏、あなたもいかが??(爆)(^-^)/


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